WE ARE BORN

140字で足りない文章置き場

映画『新しき世界』  アウトサイダーが作る「新世界」 ―第一章 新しき父系社会

第一章 新しき父系社会

 第一節 変容する韓国の家族

 

 韓国は儒教*1に基づく父系社会です。韓国には姓が少なく、またその姓を変えることは近年まで法律で許されていませんでした。子は必ず父親の姓を継ぐことになっています。

 こうすることで、確実な父系の血が受け継がれ、その歴史は何代も遡ることができます。この血で結ばれた父系集団の結束はとても堅いものでした。

 

「韓国人の家族に対する価値観は伝統的に儒教思想に基づいている。儒教思想とは人間は子供を通して永生を得ることができ、子孫は親を通して命を得ることができると考える。(中略)このような思想から拡大家族制が理想とされ、長男を中心に家系と家産が相続される直系家族形態が普遍化してきた。」

          (金 憲/李 允碩「儒教の国・韓国の異変:家族観の変化と少子化」119.)*2

 

 ちなみに、韓国の結婚制度は伝統的に夫婦は別姓です。別姓の嫁は、父系家族におけるある種の異邦人であり、何か問題が起きた時姑や舅は嫁よりも父系集団の一員である子や孫を重視する傾向があります。

 しかし、近年では法律の改正により、女性が婿を取り、家を継ぐことが可能になりました。韓国の父系家族の崩壊、そして変容は1960年代の経済発展から始まりました。近年、それはますます加速しています。

 近代化により、韓国の父系社会は崩壊しつつあります。急速に高齢化が進み、長男、次男が都会に出ていくと、農村に残るのは老人です。また結婚をしない/できない独身者の増加、少子化、離婚率の増加など、日本人にとっても身近な問題を前に、韓国の家族観は大きく早く変わりつつあります。

 日本と韓国の大きく異なる点、それは旧来の父系集団から新しい形の父系集団への移行が見られることです。

 伝統的な血族の繋がりを韓国語で「ウリ」と呼びます。ただ最近では、密接な繋がりのある親しい人々の集団をも「ウリ」と呼ぶようになっています。その関係性は、日本の親しい友達や親戚の関係よりも濃く、「ウリ」仲間は血で繋がった同族と同じように物理的・精神的な支えとなり離れられない関係になります。まさに新しい家族の形です。*3

 この概念を知って、私が最初に思い浮かべたのは北大門組のことでした。北大門組の構成員の母体は麗水出身の華僑であり、韓国華僑*4という韓国社会におけるマイノリティーである点で強烈に結びついています。

 北大門組のボスであるチョン・チョンは皆から「兄貴」と慕われ、ジャソンを「ブラザー」と呼びます。彼ら二人は義兄弟として強い絆で結ばれていることが強調されます。

 特に中華飯店のシーンで、北大門組の従来の韓国社会とは違う家族の形が表現されています。兄貴分のチョン・チョンがその右腕であるジャソンの妻の妊娠を「生まれて来る子がジャソンに似ませんように」と中国語で祝い*5、ジャソンの補佐である年少のソンムが「奥さんに似た子が産まれますように」と同じく中国語で続けます。その後、チョン・チョンは「座ったままで」とソンムを制し、格下である彼に手づから酒を注ぎます。*6

 映画で韓国人であるカン課長*7、そしてジュングからそれぞれ肉について「韓国産の肉」かどうかを気にする台詞があります。*8これは、儒教的な価値観の残る韓国社会において、韓国華僑というマイノリティーへ注がれる抑圧を示唆していると言えます。

 北大門組は、チョン・チョンが作り上げた新しい形の家族「ウリ」でした。そこには父はおらず、いるのは韓国社会で余所者として生きるという強い圧力に耐えた兄弟たちの集団です。

 韓国社会でのマイノリティーが受ける強い抑圧を、別の角度から示唆するシーンがいくつかあります。それは延辺の物乞い、とこの映画で呼ばれる、中国の延辺に住む朝鮮族の殺し屋たちに関する一連の描写です。彼らは日に焼け、汚い服を着た不審者として登場します。へらへらと不気味な笑みを浮かべ、食事の礼儀もなっていない、野蛮人として描かれています。外を歩いているだけで、韓国人は彼らをちらちらと見、嘲笑しひそひそと噂話をします。*9

 チョン・チョンの葬式でも、彼らは弔問客に用意された食べ物を安っぽい黒のスーツと赤いシャツという格好で汚らしく食べています。*10そして、コ局長を狙撃するシーンでも、タクシー運転手に「金はあるのか」「あの車は高いんだ。朝鮮族なんかが…」と、客であるにもかかわらず馬鹿にした言葉を浴びせられます。*11

 彼らはジャソンたち韓国華僑にとって、ある種、鏡のような存在です。ジャソンは韓国に生きる中国人であり、延辺の物乞いたちは中国に生きる北朝鮮からの脱北者です。

 法的な側面からも、韓国華僑に対する差別は明らかです。長年、韓国華僑は差別的な法制度により、貿易や為替、土地取得を制限され、大学入学、就職や昇進でも問題が起こるほどでした。韓国国籍の取得が可能になったのは1997年であり、「永住権制度」の導入は2002年です。*12

 このような状況で韓国華僑として生きることがいかに困難なことかは想像に難くありません。

 北大門組は、父と子から兄と弟に変容した新たな形の父系集団「ウリ」であり、強い抑圧の中で生き残ったという絆で結ばれたマイノリティーの家族です。

 

 

 

 

 

 第二節 「父」と「兄」、二つの世界

 

 北大門組のチョン・チョンが、兄と弟の男系集団の象徴だとしたら、旧来の父と子の男系集団を象徴する人物は誰なのでしょう。それは、ジャソンの警察として上司、カン・ヒョンチョル課長です。

 潜入捜査官ジャソンは、警察とヤクザという二つの組織の間で揺れ動きます。

 「“父”への忠誠か、“兄”との絆か――。」(日本公開時コピー) 

 コピーにある通り、それはカン課長という旧来の男系集団の象徴としての「父」、そしてチョン・チョンという「兄」、二人の人間の間で揺れることでもありました。

 ジャソンはちょうど父親の年代のカン課長、ひいては警察に、認めてもらおうと捜査官として懸命に「孝行」をします。そうすれば、警察という父系社会で自分の居場所ができるとでも言うように。しかし、それはなかなか叶いません。

 反対にチョン・チョンは、ジャソンを信頼し、本物の兄弟のように扱います。華僑の部下たちもジャソンを慕い、彼ら北大門組は固い絆で結ばれています。そこではジャソンはチョン・チョンの一番の弟分として、家族の一員に迎えられています。しかし、それは潜入捜査官という身分を隠したジャソンにとっては、偽りのものです。

 「父」の組織である警察、そして「兄」の北大門組、二つの組織、「父」と「兄」の二人の人間のどちらも選べずジャソンは苦悩します。

 前述のとおり、警官の「父」カン課長と、ヤクザの「兄」チョンは、それぞれの世界を象徴する存在とし対として描かれています。二人が対になっているシーンは劇場公開版では全部で三箇所です。

 一つ目がジャソンにそれぞれが妻の妊娠祝いを渡すシーンです。チョンは中国で買ったロレックスをジャソンの妻の妊娠祝いに渡します。しかし、ジャソンはそれを「偽物だ」ということを理由に突き返します*13。カン課長の妊娠祝いは激高したジャソンによって、閉鎖された釣り堀の淀んだ池に投げ捨てられます。ジャソンは二人の贈り物をどちらも受け取りません。*14

 二人が対応しているもう一つの描写、それは死因です。チョン・チョンはゴールドムーンの駐車場で、刃物を持った大勢のジュングの手下に襲われます。*15そして、鬼神の如き大立ち回りの末、エレベーターで腹を何度も刺され、*16これが致命傷になりついには絶命します。一方、カン課長は隠れ家である閉鎖された釣り堀で、ジャソンの命令を受けた延辺出身の朝鮮族の殺し屋の一人に、刃物で腹を刺されて息絶えます。*17

 この映画で、刃物で腹を刺されて死んだ人間は、チョンとカン課長の二人だけです。チェ理事はセメントを飲まされ*18、シヌは銃で頭を撃ち抜かれ*19、ソンムはシャベルで殴打の上刃物で喉を切り裂かれ*20、ジュングの部下も刃物で喉をかっ切られ*21、チャン・スギはバットで殴打され*22、コ局長は銃で撃たれて絶命します。*23

 兵役があり成人男性の大半が銃を扱える韓国では、銃規制が厳しく、ヤクザの主な武器は刃物です。映画に出てくる銃火器は、警官か中国から来た延辺の殺し屋の持ち物です。銃火器を持っているはずの延辺の殺し屋が刃物で直接殺したのがカン課長のみだという点も考えて、意図的な演出であると言えます。

 対応する最後のシーンは、回想です。ラストシーンで会長イ・ジャソンというネームプレートのあるデスクに座り、ジャソンは二つの記憶を思い起こします。それはカン課長と出会った10年前の雨の日。*24そして、チョン・チョンと襲撃に行った、6年前の麗水でした。

 このように、カン課長とチョン・チョンは画面上で繰り返し対になる存在として表現され、旧来の父と子の男系集団、そして兄と弟の男系集団を象徴する人物として描かれています。同時に、ジャソンにとって二人が重要な人物であることが強調されています。

 最終的に、ジャソンは、「兄」であるチョン・チョンの遺した北大門組を選び、「父」であるカン課長を殺します。新しい兄と弟の男系集団である北大門組が、旧来の男系集団である警察のチームを倒す、という構造です。これは現実の韓国で起こっている、旧来の父系集団から新たな父系集団の移行が、北大門組、そして警察との闘争を通して象徴的に描かれていると言えます。

 

 

 第三節 旧体制との闘争

 

 主要人物達は大まかに二つの世代に分けられます。

 1.カン・ヒョンチョル課長、コ局長、ソク会長、チャン・スギ理事、チェ理事(旧世代、五十~六十代)

 2.イ・ジャソン、チョン・チョン、イ・ジュング (新世代、三十~四十代)

 新世代は旧世代に表面上は従っています。しかし、最終的には旧世代が新世代に殺害されるという結末になるのです。『オイディプス王*25の時代からある父殺しの物語です。*26カン課長、コ局長、チャン・スギはイ・ジャソンによって殺されました。空港での会話により、チョン・チョンが邪魔なチェ理事に裏切り者の疑いをかけ殺害したことが示唆されています。*27また、イ・ジュングとチョン・チョンの拘置所での面会シーンにより、二人のどちらかがソク会長を殺害した可能性がほのめかされています。*28

 新しき世界は、「息子」である第二世代が「父」である第一世代を殺すという、「父」殺し、そして世代の闘争の物語である側面を持っています。

 新世代であるジャソン率いる北大門組が最終的な勝利者となります。イ・ジュングのジェボム組、チャン・スギ率いるジェイル組、そして介入しようとしていたカン課長、コ局長という警官、全てが北大門組によって倒されるのです。

 北大門組に、旧来の男系集団から、新たな男系集団への移行が描かれているというのは第一章 第一節で触れた通りですが、同時に旧世代から新世代への世代交代も進んでいます。

 

 このように、映画に出てくる主要な登場人物達は年齢も立場も様々ですが、それぞれに古い体制との戦いを抱えています。

 カン課長もまた、旧体制との闘争を背負っていました。それは学歴社会との戦いです。カン課長は映画で相当な実力を持った刑事として描かれています。彼は、韓国最大の犯罪組織を撲滅する大規模な作戦、「新世界プロジェクト」の提案者であり、司令塔です。しかし、肩書きはソウル地方警察庁捜査企画課の課長に過ぎません。このことから、彼が警察大学校出のエリートではなく、警察養育院出の、学歴を持たない叩き上げの刑事である可能性を示唆しています。

 本作の監督であるパク・フンジョンが脚本を担当した、映画『生き残るための3つの取引』*29では、実力や実績は十分にありながら警察大学校出という学歴がないために昇進ができず、それ故に悪の道に落ちていく刑事チェ・チョルギの物語を描いています。

 未だ実力より、学歴が重視される韓国警察で、学歴のない叩き上げの刑事がどのような道を選ぶか、というのはパク・フンジョンの重要な主題の一つと言えます。

 第一章第一節で言及した通り、ジャソンとチョン・チョンはマイノリティーとして差別を受ける韓国華僑です。主要人物の三人全てが、韓国社会の体制により何らかの不利益を受けている、恩恵から外れた人間として設定されています。このことから、パク・フンジョン監督の現代の韓国社会に残る学歴社会、マイノリティー差別に対する批判的な視線が読み取れます。

 

 ここで、疑問が浮かんで来ます。何故、父と子の男系集団から、兄と弟の男系集団への交代は、韓国人の集団ではなく、韓国華僑の手によってなされたのでしょうか。何故、イ・ジャソンは韓国人ではなく韓国華僑として設定されたのでしょうか。これについては、第一章 第三節でチョン・チョンとジャソンのライバルである韓国人の幹部、イ・ジュングを通して解き明かします。

 

 

 第三節 マジョリティーとマイノリティー、そしてアウトサイダー

 

 新しき世界の特徴的な点は、旧世代と新世代の抗争において、最後の勝利者が韓国人ではなく、韓国華僑というマイノリティーのイ・ジャソンであるところです。

 では何故、チョン・チョンやジャソンと同世代の韓国人であるイ・ジュングは、最後の勝利者となりえなかったのでしょうか。

 パク監督は、好きな映画として『ゴッドファーザー』シリーズ*30と『インファナル・アフェア』シリーズ*31を上げています。*32イ・ジョンジェへのジャソンの役作りのアドバイスとして、イ・ジョンジェには堂々と話しました。映画の中盤部まではインファナル・アフェアトニー・レオンと同じだったら良くて、後半にはゴッドファーザーアル・パチーノと同じだったらいいと。」*33と発言しています。

 インファナル・アフェアのヤンの潜入捜査官の苦悩、ゴッドファーザーの主人公マイケルのカタギの青年からマフィアのドンへの変貌、という物語や精神性を受け継いだのはジャソンですが、イ・ジュングにはパク監督の愛するマフィア映画のディテールや、場面の引用が見られます。

 イ・ジュングは他の映画からのイメージの引用が多く見られる登場人物です。例えば、ゴールドムーン初代会長ソクの葬式場での警官らとのやりとりです。葬式の参列者を撮影している警官らに怒り、ジュングはカメラを破壊します。*34そしてカン課長とのやり取りの末、カン課長に請求されたカメラの弁消費である札を地面に投げます。*35これは『ゴッドファーザー』の冒頭の、マフィア一家コルレオーネ一族の結婚式でのマフィアと新聞記者のやりとりからの引用です。*36

 また、ジュングがビルの上からゴルフボールを打つシーン*37、これには『インファナル・アフェア』での海に面した練習場で、アンディー・ラウと上司がゴルフボールを打つシーンの影響が予想されます。

 三つ揃えを着た洒落者のイ・ジュングはゴルフクラブをトレードマークのように持ち歩いています。ゴルフクラブで警官の車の窓ガラスを破壊し、建設途中のビルでゴルフボールを打ち、部下や他の理事に拍手を強要する、それがイ・ジュングです。ゴルフは韓国でも富裕層のスポーツですが、その大げさな演出は、ゴルフに打ち込む成功者というよりは、気に入りのおもちゃをどこにでも持ち歩く子供のようにも見えます。

 

(チョン・チョンは警察にのみ、尊敬語を話しますねという質問に対し)チョン・チョンは華僑出身でマイノリティーの中のマイノリティーです。そんな境遇で組織のNO.2までのし上がったのは幼い頃から生存本能がとても強かったからです。反対にイ・ジュングには恐いものがない。はじめから暗黒街のマジョリティーでした。だから警察も恐ろしくないのです。*38

 

 マイノリティーとして苦労をして来たチョン・チョンと対照的に、ジュングは暗黒街のマジョリティーであると意図的に設定されています。チョン・チョンは本編でジュングについて「万年思春期」*39と評しました。ジュングは、怒りを抑えることができず、誰にでも尊大な態度を取る、恐れ知らずの人物として描かれます。確かに思春期の反抗的な怒れる少年のようです。

 また、ジュングのオフィスは建設途中のビルの高層部にバーやソファーセットをしつらえて、自分の事務所としています。壁もまだない、むき出しのコンクリートのオフィスという奇異な事務所です。これは彼の人格がまだ未完成であり、彼の精神の未熟さを表しています。*40

 三つ揃えのスーツや、オールバック、ゴルフクラブ等、ジュングが外面に纏っていたモチーフは、最後には全て剥奪され、何も持たない彼だけが残ります。

 ジュングは、外面だけを取り繕いながらその実中身がなく、精神が未熟で自分をコントロールできない人間であると描かれています。

 監督のパク・フンジョンは、映画公開当時40歳でした。*41イ・ジュングと同世代です。同世代の三十~四十代の韓国人を、パク・フンジョンはこのような批評的目線で捉えているのではないでしょうか。

 一方、監督、パク・フンジョンは韓国華僑であるチョン・チョンについて、

大韓民国でマイノリティーとして生きていくということは本当に難しいことだった。マイノリティーに対して抑圧が激しい国なのに。そこで生き残って自身の地位を固めたとすれば、ふつうまぐれではない。」*42

 と語っています。

 韓国華僑の人口は現在2万人ほどで、多くはソウル、仁川、釜山に居住しています。麗水は特に華僑の多い地域ではありません。*43このことから、監督が意図的に、ジャソンやチョン・チョン、そして北大門組を、韓国華僑の中でも更なるマイノリティーとして設定していることがわかります。

 この映画では、より強い逆境に耐えたものが、強い生存能力を勝ち取り、最後に生き残るという法則があります。

 上記のようにパク・フンジョンは、チョン・チョンを韓国社会という逆境で生き残った生存能力の強い人間の代表として挙げています。そこで新たな疑問が浮かびます。何故チョン・チョンではなく、ジャソンが最後まで生き残り会長となったのでしょう。それは、チョン・チョンよりも更にジャソンの方が帰属集団を持たない孤独な人間だったからです。華僑、そして更に少数しかいない麗水出身、チョン・チョンとジャソンは同じ大変なマイノリティーです。しかし、北大門組という帰属集団を持っていたチョン・チョンと違い、潜入捜査官であるジャソンは北大門組にも、警察組織にも完全に所属することはできませんでした。チョン・チョンは韓国社会のアウトサイダーでしたが、ジャソンは北大門組でも警察でもアウトサイダーでした。より強い孤独に耐えた者が最後に生き残ります。

 旧世代韓国人のチャン・スギ率いるジェボム組、新世代韓国人のイ・ジュングが率いるジェイル組。そのどちらでもなく、若い異邦人であるイ・ジャソンが率いる韓国華僑の北大門組が、マジョリティーを制しゴールドムーンの覇権を握りました。これは現在の韓国社会を変えるには、旧世代に育てられた新世代ではなく、逆境の中抑圧に耐え、更に強い孤独を乗り越えたアウトサイダーが必要だという、監督の考えが反映されているのではないでしょうか。

 

*1:中国で前漢武帝董仲舒(とうちゆうじよ)の献策で儒家の教説を基礎に正統教学として固定し,以後,清末までの王朝支配の体制教学となった思想。この儒教は,政治・文化の担い手であった士人(官人地主層)の主たる思想となり,その歴史・社会の変化に応じて,仏教・道教の教説を受容して教義を豊かにしたが,この儒教思想の史的展開がとりもなおさず前近代中国の思想史の主流をなす。したがって郡県制帝国の王朝体制が克服される近代化の過程で,儒教は思想・文化上の打倒目標となり批判された。

*2: http://ci.nii.ac.jp/els/110006610369.pdf?id=ART0008582314&type=pdf&lang=jp&host=cinii&order_no=&ppv_type=0&lang_sw=&no=1395927019&cp= (アクセス日 2014年3月26日) 

*3:森下喜一『韓国社会の基本的人間関係「ウリ」』http://www.pwpa-j.net/opinion/newparadigm03_morishita.html (アクセス日 2014年3月18日) 

*4:1880年代以降、朝鮮半島には中国人が全域に暮らし韓国の華僑社会を形成し始めていた。1948年に樹立した韓国政府は自国民の利益を守ることを最優先とする方針が打ち出されたが、韓国華僑は"国民"の範疇から除外されたため外国人として制度的に差別を受け続けることになる。

翌49年に制定された「外国人の入国出国と登録に関する法律」により、韓国華僑は管理と監視の対象となった。これにより韓国華僑の人々は差別的な法制度によって貿易や為替、土地取得などを制限された。この法律は63年「出入国管理法」の制定まで運用された。

70年代末から韓国華僑の数は大幅に減り、台湾への移住者が増えた。理由の一つに韓国の大学入学の際に大きな問題を経験したことがある。

中国との国交が樹立された92年以降、制度の撤廃や是正に向かう。97年には「国籍法」が全面的に改正され、韓国国籍の取得が可能となったが、社会福祉障碍者福祉などは適用除外になり、国民年金制度の運用、教育と進学などに関する制約には合理的とは思えない差別が残ったといわれている。2002年に「永住権制度」が導入され、永住が可能になる。

若い世代の韓国華僑は"韓国化"しているが、「韓国人ではない」という意識を持つ者も多い。また、制度は改善されてきているものの、依然として就職や昇進などの差別は残っているともいわれている。

現在、韓国華僑は勧告に滞在している全外国人の10分の1未満でしかないが、国内に永住している唯一の外国籍民族集団である。

*5:ch.4 0:31:44

*6:ch.4 0:32:07

*7:ch.2 0:15:38

*8:ch.7 0:48:28

*9:ch.7 0:52:53

*10:ch.16 1:52:20

*11:ch.17 2:05:03

*12:『新しき世界』パンフレット
発行日:2014年2月1日発行者:高澤吉紀発行:彩プロ

*13:ch.1 0:07:59

*14:ch.3 0:23:48

*15:ch.13 1:29:30

*16:ch.13 1:31:53

*17:ch.17 2:05:04

*18:ch.1 0:02:14

*19:ch.11 1:17:45

*20:ch.11 1:15:46

*21:ch.13 1:31:43

*22:ch.17 2:01:26

*23:ch.17 2:06:23

*24:ch.17 2:07:19

*25:ギリシャ悲劇。ソフォクレス作。紀元前420年代初期(?)に上演。オイディプス伝説を題材とし,真理の発見が運命の逆転に至るさまを描いて,アリストテレス以降,悲劇の筋構成の模範とされた。

*26:vertigonote @vertigonote: 私なんのかのいってあの種の映画において「父殺し」がテーマになってるのが好きなんだろうなー。実際の結末はどうであれ、演者がギリギリのとこで本気で大物狩りに挑んでってるかんじがみえるとたまらないんだよなー。

*27:ch.6 0:44:42

*28:ch.8 0:58:38

*29: 『生き残るための3つの取引』(2010) 

*30:フランシス・フォード・コッポラ監督『ゴッドファーザー』(1972)、『ゴッドファーザーPARTⅡ』(1974)、『ゴッドファーザーPARTⅢ』(1990) 

*31:アンドリュー・ラウ&アラン・マック監督『インファナル・アフェア』(2002)、『インファナル・アフェア無間序曲』(2003)、『インファナル・アフェアIII 終極無間』(2003) 

*32:劇場パンフレット

*33:신세계박훈정감독인터뷰

http://supianhyun.tistory.com/m/post/7 (アクセス日、2014年6月13日) 

*34:ch.2 0:12:25

*35:ch.2 0:14:54

*36:『Extreme Movie』「‘신세계’박훈정 감독인터뷰」http://www.extmovie.com/xe/article/55561 (アクセス日2014年6月8日) 

*37:ch.5 0:36:40

*38:『<GQ> 2013년 12월호』「박훈정이찾은멋진신세계」 http://www.gqkorea.co.kr/content/view_02.asp?menu_id=04030100&c_idx=012203050000009 (アクセス日、2014/6/13) 

*39:ch.4 0:28:04

*40:韓国版DVDコメンタリーより。(ch.5 0:36:31-0:3650)

パク・ソンウン「(何故あの場所をオフィスにしてるかと聞かれ)映画には全部意味がある。まだ未完、ジュングという人は…」

パク・フンジョン「ジュングはそのまま格好のために生き、格好のために死ぬ(=その人にとって格好をつけるのはものすごく大事)」 

*41:『dongA.com』‘신세계’감독박훈정 “정치하는깡패들통해권력이뭔지묻고싶었죠”

http://news.donga.com/Main/3/all/20130321/53883586/1 (アクセス日 2014年9月8日) 

*42:『extmovie』「읽을거리›익스트림피플› '신세계' 박훈정감독인터뷰」
http://www.extmovie.com/xe/article/55561 (アクセス日 2014年3月18日) 

*43:用務員『変化する韓国華僑への「まなざし」』(アクセス日 2014年3月21日)

http://www.page.sannet.ne.jp/hayaf/manazashi.htm